第1章 魔王に召喚された夜
「顔見ただけじゃ分からんな。···女、来てもらう」
「へ、ちょっ、何処に···ひえぇぇ!」
「先程から煩い。静かにしていろ」
一気に視界が高くなったと思ったら、イケメンに横向きにお姫様抱っこされていた。これはもうよく出来た夢なんじゃないかなっ、と疑いたくなる。
通された部屋は、どっかのお城の王族が住んで居そうな部屋だった。豪華なロココ調を思わせる家具が並び、黒い薔薇の花が花瓶に活けられ、テーブルの上に飾られていた。
部屋の主であろうイケメンはやたら広い寝台に近付くと、私はコロンと転がされすかさず覆い被された。両腕は意図も簡単に寝台に縫い付けられてしまった。逃げようがない··。
「へ···!?あのっ···!?」
「静かにしろ。お前を呼んだのは、俺がお前を必要としたからだ」
「は、はぁ···。本当に私なんですか?」
「花嫁と判明した暁には、俺の子を産んでもらう」
(聞いてないし!!しかも···子供が欲しいと!?)
「はぁ!?いや、う、産むぅー!!?」
事の展開にそろそろ目眩を覚えて来る。
「あぁ。代々、魔王の子を産ませるのは異世界の女と決まっているのだ。魔族同士で、··特に王族は魔力が強過ぎる為、血を丁度よく薄める為に異世界から女を召喚している。そして今回はお前が選ばれた。俺の花嫁として···さぁ、“花嫁の証”を見せてもらおうか」