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特撮短編集【仮面ライダー】

第2章 lovers【五十嵐 大二&カゲロウ/ライブ&エビル】


「カゲくん、ちょっと相談に乗ってくれる?」

 子連れの親子で賑わう公園のベンチ。強すぎない日差しの下で、彼女は恋人と休憩をしていた。

 甘いカフェラテの缶を両手で持ち、ちらりと隣に座る恋人のカゲロウを窺う。

 彼は飲もうとしていたブラックコーヒーの缶から口を離し、「あ?」とこちらを見た。

 黒ずくめの洋服にシルバーのネックレスや指輪。尖った雰囲気に怖じけづくような気持ちはなく、こちらの話を待ってくれている雰囲気が嬉しい。

「実は、大くんのことでね……」

「は? あのアホ(大二)のことで悩んでんのか。オマエも大概 暇だな」

 ハッと鼻で笑い、カゲロウが長い髪を掴み、「つーかさぁ」と無理やり顔を引き寄せる。

「彼氏の前で、よく別の男の話題を出せるもんだな?」

 意地の悪そうな目で顔を覗き込む彼に、彼女は小首を傾げた。

「別の男って、大くんもカゲくんでしょ?」

 五十嵐 大二――彼もまた彼女の恋人であり、カゲロウの身体の本当の持ち主。

 カゲロウは大二の中に棲む悪魔なのだと聞いている。他にも何か詳しく聞いたが難しかったので、『大二は二重人格だ』と勝手に納得していた。

 目を丸くして言うと、カゲロウは「はぁ……」と大きくため息を吐き、缶の中のコーヒーを飲み干す。
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