第6章 Scarier than death【吾妻 道長/バッファ】
「ただ……ごめんなさい。わたし……道長くん以外の人と……キス、しちゃったし……身体、触られて……」
もしかしたら、嫌われるかもしれない。自分以外の男が触った女など、もうゴメンだと。
それでも、わだかまりを持ったままにはできず、彼女は懺悔でもするように頭を下げた。
チッと低い舌打ちにビクリと肩を振るわせた。
「……アイツら、ちゃんとぶっ潰しておけばよかった」
「え……」
しっかり聞き取れずに聞き返すのと同時に、力強い温もりに包み込まれる。
「み、道長く……」
最後まで言わせず、彼は彼女の顔を上に向かせ、荒々しく口づける。
慣れ親しんだ温度、匂い、心拍……全てに安堵し、彼女は瞼を閉じて身を任せた。
首筋を撫でる彼の息遣いにふるりと身を震わせ、プチプチとボタンを外す指先に期待が募る。
「今日のこと、全部 忘れさせてやる。もう二度と、こんな目には遭わせねぇ」
その誓いを刻み込むように、一つ一つ上書きするように。
いつもは粗野で乱暴な手が、指先が、優しく身体に触れる。
どんどん、さっきまでの恐怖が快感に塗りつぶされて、何も考えられなくなってくる。
「道長くん……ずっと、傍にいて」
「バカか。それはこっちの台詞だ。離れたら殺すぞ」
首に手を回すと、彼は痛いくらいに強く抱きしめ返してくれた。
《 F i n ... 》