第5章 She is adorable【詩島 剛/マッハ】
「よし! じゃ、気を取り直して行くか」
「どこ行くの?」
剛に手を引かれ、道を歩いて行く。
ゆったりとした足取りは、歩調を合わせてくれているのだろう。
「最近、公園にワゴンが停まってンだ。クレープの」
「行きたい!」
ようやく、いつもの自分たちだ。
不意に、信号で立ち止まった剛が身を屈めてきた。
何……と聞くより早く、チュッと唇が触れて、すぐに離れていく。
「な……⁉︎」
両手で口元を押さえれば、彼は「してやったり」とイタズラっぽく唇を舐めた。
顔を真っ赤にして肩を振るわせていると、剛はフッと小さく吹き出す。
「やっぱ、オマエ、最ッ高にカワイイわ」
《 F i n ... 》