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特撮短編集【仮面ライダー】

第4章 Peace of mind【桜井 景和/タイクーン】


 朝6時に起きて、朝食の準備。

 彼女は低血圧で、朝はあまり入らないから、トーストに目玉焼き、野菜のスープで、重たくなりすぎないようにする。

 慣れた手つきで手早く料理を済ませた桜井 景和は、自分たちの寝室へ静かに向かった。

 ダブルベッドですやすやと寝息を立てている彼女の枕元に膝をつく。

 普段の凛としていながら近寄りがたい雰囲気はなりを潜め、あどけない少女のような無垢な表情をさらす彼女に、景和は大きく息を吐き出した。

「はぁ……幸せすぎる〜!」

 彼女とつき合い始めて1ヶ月半、同棲し始めて半月。
 彼女が自分の気持ちに応えてくれたことだけでも奇跡なのに。

「俺……こんなに幸せでいいのかな……?」

 いつか、今までのことが夢だったと消えてしまいそうで怖い。

 そっと彼女の前髪に触れる……と、閉じていた瞼がパッと開いた。

「うわぁ⁉︎」

 声を上げ、慌てて手を引くと、彼女は肩を振るわせて笑う。

「びっくりしたぁ……起きてたなら言ってよぉ……」

「景和こそ、早く起こしてくれればいいじゃない」

「それは……そうなんだけど……。こっちにも色々とあるんだよ」

「今の幸せを噛み締めたり?」

「そうそう。今の幸せを……って、聞いてたの⁉︎」

 驚く景和に、彼女はイタズラっぽく口角を上げた。
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