第5章 重なる心と別れ
キッドは海に出てから、ずっと自分が生まれ育った島を見ていた。
「キッド、どうした?」
「うん? いや……」
キッドは曖昧に返事をしてから、ふと口を開いた。
「なァ、キラー」
キッドは未だに手を振り続けている2人の人影を見ながら言った。
「おれは……どうしたら良かったんだ?」
ーあいつを連れてった方が良かったのか、それとも……そもそも……あいつを海賊にするつもりなんてなかったのに……。
「さあな、おれには何が正解だったかなんてわからない。だが……」
キラーはキッドを見た。
「お前、すごく嬉しそうだぞ?」
キッドは笑った。
「そうか?」
「ああ」
ー今まで見てきた中で、1番いい顔をしている。
2人の船は南の海の波と風に揺れながら〈偉大なる航路〉へと向かった。
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