第5章 重なる心と別れ
歌い終わった後、ミーウは優しく笑った。
「どうだった?」
キッドは少し考えてから、口角を上げた。
「上手かった」
そう言って、意地悪そうに笑う。
「ありがとな。ミーウ」
キッドはそのままミーウに近付き、ミーウの顎を上に向けさせた。そして……優しくミーウの唇にキスをした。
「礼だ。有り難く受け取れ」
その瞬間、ミーウは何をされたかわからなかったが、しばらくして顔を真っ赤にして口に手を当てた。
「な……な、な何を!」
キッドはミーウと目線を合わせた。そして、顔を彼女の耳に近付けて耳元に呟いた。
「キスだよ。わかんねェのか?」
キッドはミーウの頭に手を乗せた。
「おれのファーストキスだ。有り難く思え」
そのままキッドはキラーと共に船に乗った。その間、キッドは右手を上に上げてひらひら振っていた。ーーキッドなりのお別れの挨拶だ。
「……キ、キッドの馬鹿!」
ミーウはキッドを真っ赤な顔で睨んでいた。
キッドとキラーが乗った船はミーウとアユナに見送られて海に出た。
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