第56章 天竜人と8人目の新たな仲間
「……酷ェな」
「傍若無人という言葉がピッタリだ」
ショウラとケイトもその様子を見て、小声で話をしている。
「……」
ミーウは体ごと後ろを向き、地面に足をつけた。そして、ナミとサンジの間を通って歩き始める。
「ミ、ミーウ!?」
ナミは驚いてミーウを呼び止めたが、彼女は止まらない。天竜人の前へと歩を進める。
「……ねえ」
ミーウは天竜人の前へ来ると、その男に声を掛けた。
「なんだえ、お前」
「その人、いらないの?」
ミーウは今も尚、踏み付けられている男を見た。
「あ……誰に向かって口を聞いてるえ!」
天竜人の怒鳴り声は会場中に響き渡った。騒いでいた客たちは黙って後ろを振り返る。
「誰って、あんただけど?」
「ミーウ!」
アユナはミーウの名前を叫んだ。ーー島に入った時と約束が違うからだ。
「……ミーウ?」
先に来てオークションを見ていた男の天竜人がアユナの声を聞いて、目を凝らした。だが、後ろの様子は見えない。
「何でもいいけど、その人のこといらないって言ったじゃない。どうなの? いるの? いらないの?」
「な、ななな……」
ミーウの目の前にいた天竜人の男は怒りが込み上がりすぎて、口が開いたまま言葉を発することができない。
「どっちなの?」
「い、いらないえ!」
天竜人の男は怒鳴った。
「そう、それなら……」
ミーウは首を傾げた。
「その人、わたしに頂戴」
「……あ?」