第52章 〈偉大なる航路〉前半の海
ハンコックたちと別れた1週間の間、島には到着しなかったものの様々な出来事に出会した。騒ぎを聞きつけた海軍に追いかけられたり、遊蛇海流や丸虹などの自然現象に遭ったりした。それを水神海賊団は全て乗り越え、現在は平穏な海の上を航海している。
「ミーウ」
船首の上に座っているミーウにアユナは甲板から声をかけた。ミーウは振り返る。
「何?」
「もうそろそろ見えそう?」
「うん!」
ミーウは再び前を見る。
ーーもうそろそろ現れるはずだ。
「あれから……どれくらい経ったかしら……」
ミーウは今までの旅を思い出した。
ー自分が生まれ育った“竜国島”から出発して、最初に辿り着いた島でスレイジに出会った。海賊が大嫌いだったスレイジと協力して、“雷島”に上陸した海賊を倒した。そして、スレイジが仲間になって、賞金首にもなった。その後、クユン、ジウ、トーダ、ケイトと仲間がどんどん増えていった。それから……。
ミーウは首に掛けられたビブルカードのネックレスを見た。燃えることもなく、縮んでいることもない。
「……」
(元気そうね)
ー南の海の最後の島で、彼と初めて戦った。敵として……仲間たちと共に。戦いたくなかった。でも、戦わなくてはいけなかった。海賊として。だが、今思えば必要な戦いだった。