第44章 また会う時まで
次の日の朝、水神海賊団の船は海の真ん中で止まっていた。
「エース、荷物は全部持ったか?」
「おう」
「ついでだ。これも持ってけ」
「いいのか?」
ショウラがエースに弁当が包まれた袋を渡した。
「あァ、うちの船長を助けてくれたお礼だ」
「わかった。有り難く頂くぜ」
エースは弁当を受け取り、鞄の中に入れた。
「エース」
船の中から出て来たミーウがエースに声をかけた。
「……行くのね」
「あァ、少し早く行って義弟を待とうと思ってな」
エースはニッと歯を見せて笑った。
「……そう……」
ミーウは少し寂しそうに笑った。
「何だ? 寂しいのか?」
「べ、別にそんなんじゃ……」
少し顔を赤らめて否定する。
「あァ、そうだ」
エースは自分のポケットの中から、ある物を取り出した。
「これ、お前が持っててくれ」
エースはミーウの左手を掴んで、小指にある物を付けた。
「これ……」
「昨日、じいさんに貰った指輪だ」
ーーそれは昨日、写真館の老人にエースが貰った指輪だった。
「ぴったりだな」
エースは笑った。
「……ええ」
ミーウは左手の小指にはめられた指輪を見つめた。
「あ、そうだ」
ミーウは思い出したように顔を上げた。