第42章 知られたくなかったこと
ミーウは森の奥地へと着いた。
「……隠れてないで、出て来なさいよ」
「……」
ミーウが木の陰に隠れていた人物へ声をかけると、その人物はゆっくりとミーウの前に姿を現した。
「……」
ーー黒いもじゃもじゃな髪の毛に斑点模様の帽子を被り、帽子からは熊の耳が飛び出ている。聖書を小脇に抱えている大男。
「“暴君”バーソロミュー・……くま」
ミーウは〈氷鳥〉を構えた。
「何故、ここにいる」
相手は無言のまま、人間とは思えない“無”な視線をミーウに向ける。
「“秒殺の女帝”キルリレ・ミーウ」
「……」
(こんなところに、“七武海”がいるなんて……)
先程の街で、一瞬だけ見えた影。ーーそれは“七武海”の一角である“暴君”バーソロミュー・くまだった。
「どうして……船員たちを置いて、この森に走って行った」
「……」
ーー1つの船の船長として、“七武海”がいると気付いた上で、船員たちを置いて別行動を取ることは船員たちを見捨てたと取られても仕方がなかった。その船で1番強いはずの船長が不在の中で、船員のみで“七武海”を倒せるはずがない。しかし、ミーウが敢えて、他の船員たちがいる船とは真逆の方向に走ったことには訳があった。
「……あなたは必ず、わたしの首を取ることを選ぶ」
「……」
「だって、わたしは……あなたの大っ嫌いな天竜人だから」