第37章 〈偉大なる航路〉
“リヴァース・マウンテン”を下ると、そこには灯台が建っている岬が見えた。
「ミーウ、ここは?」
「ここは“双子岬”よ」
ミーウは灯台の方をじーと見ている。
「ミーウ?」
アユナはミーウの様子が普段と少し違うことに気が付いた。
(ここにいるはず……)
ーおばあ様から……聞いた人が……。
「クユン! あの灯台の近くに船を着けて!」
「ミーウ?」
ミーウはクユンの方を振り向いた。
「この灯台に会いたい人がいるの」
ミーウは真剣な様子で答えた。
「……わかった」
クユンは言われた通りに、陸の近くへ船を着けた。すると……。
ブオオオオオオオ!
何かの鳴き声と共に、波が大きく揺れた。
「な、何!?」
ミーウたちの船も揺れる。
ザッバーン!
大きな影が水神海賊団の船の後ろに現れた。
「な!? クジラ!?」
その影は頭に変な海賊旗が描かれたクジラだった。そのクジラはミーウたちを攻撃しようとした。ミーウは〈氷鳥〉を構え、スレイジは背中の刀に手をかけ、ジウは弓矢を構え、トーダは炎を自分の身に纏わせ、ケイトは筆架叉を取り出して、応戦の態勢を取った。すると……。
「ラブーン!」
灯台の方から声が聞こえた。その声が届いたのか、クジラはミーウたちへの攻撃を止めた。
「?」
ミーウたちは声がした後ろを振り向いた。そこには、額から頭頂部にかけてが禿げ上がった白い長髪に顎髭を生やし、頭の周りに花弁のようなものが生えており、丸眼鏡をかけている表情が険しい男がいた。