第35章 夕焼けの意味
その頃、ミーウは西の崖にいた。ーー西の崖はミーウたちの住んでいる竜国島の西に位置していて、かなり高い崖になっている場所だった。
「はー……」
ミーウは大きく息を吐き出した。それと同時に、また涙が溢れてきた。
「……っ」
(泣くな……)
ミーウは堪えようとしたが、意に反して涙は次から次へと溢れてくる。
「……ふ、う……」
呼吸をするのも困難になってきた。
「う……ん、う……」
ミーウは涙を拭った。ーーミーウは1人になると、ずっと泣いていた。泣いても泣いても、涙が枯れることはない。
「ふぁ、う……あ……」
ーー本当は大声で泣きたかった。だけど……泣けなかった。ーー自分は泣いてはいけないと思っていたから。
「う、うぁ……ふ」
泣いている時、ミーウは決まってある人のことか、あの時のことを思い出していた。
ーミーウ。
ー自分を優しく呼んでくれた人。
ーふふ、またそんなに怪我をして。みんなが心配するでしょ?
ー呆れて笑いながらも、自分を心配してくれた人。
ーミーウ。強くなったわね。
ー温かい手で自分の頭を撫でて、自分をたくさん誉めてくれた人。そして、成長をずっと見守っていてくれた人。