第35章 夕焼けの意味
キッドはミーウが走った後を追いかけていた。
「ミーウ!」
キッドはミーウの名前を呼びながら、一生懸命ミーウに追い付こうと走っていた。しかし、一向にミーウの姿は見えない。
「クソッ」
キッドは舌打ちをして、一度立ち止まった。
(ミーウ……)
ー何で泣いたんだよ……。
キッドは今まで、泣いているミーウを見たことがなかった。
(いつもはあんなに笑っていたミーウが……)
「何で急に泣いたんだよ……」
キッドは下を向いた。
「……意味わかんねェ」
キッドは自分の知らないところで、ミーウが苦しんでることが悔しかった。
(何で……アユナはいつもミーウのことを全部わかってんのに、ミーウはアユナにはいろんなこと教えてんのに……何でおれには教えねェんだよ……)
キッドは唇を噛み締めた。ーーそもそも、何故自分がこんな気持ちになっているのか、わからなかった。ーーこの気持ちを何と言うのかさえも……。
「チッ」
キッドはまた舌打ちをした。
(本当に意味わかんねェ)
キッドは頭を掻いて、再び走り出した。
ーーミーウが泣いている理由も、自分が今持っているこの気持ちも、何もかも理解できなかったが……。