第35章 夕焼けの意味
ーーこれは、ミーウたちがまだ島にいた時のお話。ーーミーウが10歳の誕生日を迎えたばかりの時だった。
ミーウとアユナはいつものように、2人並んで大楠に向かっていた。
「……ミーウ」
アユナは隣にいるミーウに声をかけた。
「……何?」
「……嫌だったら、城に戻ってもいいんだよ?」
ミーウはそれを聞いて、首を横に振った。
「そんなことしたら、キッドとキラーが怪しく思うよ」
「そうだけど……でも」
「わたしは大丈夫だから……アユナもいつものように笑ってね」
ミーウは少し辛そうに笑った。
アユナは自分の手を握り締めて唇を噛んだ。
「アユナ、行こ」
ミーウはアユナに手を伸ばした。
「……うん」
アユナは涙を堪えて笑い、ミーウの手を取った。
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