第34章 月夜の悪戯の魔法
アユナとキラーはしばらくそのままでいた。
「……」
やがて、キラーは抱き締めている腕の力を少し弱めて、アユナを自分の方に向かせた。
「キラー?」
アユナはびっくりして、キラーを見つめた。
「……アユナ」
ー今すぐお前を攫いたい。
キラーは目を細めた。そして、口を開いた。
「アユナ、おれはずっと前から、お前のことが……」
「キラー?」
アユナは首を傾げた。
「好……」
バッコーン!!!
キラーがアユナに想いを伝えようとした時、いきなり砂浜沿いの林の中から爆発音がした。
キラーは驚いて、とっさにアユナをかばった。
爆発があったと思われる場所から煙があがっていて、その数メートル先に大きい男が1人倒れていた。
(……賞金稼ぎか?)
ーやはり、こちらにも来ていたか……。
アユナとキラーが警戒して動かないでいると、林の中から大勢の男たちが出て来た。
「!」
(クソッ! まだこんなにいたのか……)
キラーは鎌を取り出そうとした。しかし……。
「……ん?」
ー少し様子がおかしい。
ーーよくよく見ると、2つのグループが衝突していた。男たちは剣やピストルを持って戦っている。
「……」
キラーはその光景を見て目を細めた。ーーその光景とは……。