第2章 幼き日の約束
「ミーウ。ミーウ! どこにいるんだ、ミーウ!」
少し灰色がかった通常よりも大きい狼がミーウという人物を探している。どこかの城の長い廊下を軽やかに走るが、人の影は見当たらない。
「マシュラ」
その後ろから、白くてマシュラと呼ばれた狼よりも一回り小さい狼が少し短い足をトコトコと動かしてやって来た。
「アユナ、どこ探してもいないよ」
「クソッ、またか」
マシュラはその言葉を聞いて悔しがった。長くて柔らかい毛並みから覗く眉間に皺が寄っている。
「あの2人、毎日どこに行ってるんだろうね」
灰色がかった狼は後ろにいる白い狼を振り返った。
「ミシュラ。おれの弟だったら、もっと責任持って見張っておけよ」
ミシュラと呼ばれた狼は困ったように笑って、近くにあった大きな窓の向こう側を見た。
外には雲一つない、真っ青な空が広がっていた。
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