第34章 月夜の悪戯の魔法
「昨日……“殺戮武人”と何を話していた?」
アユナは紅茶の入ったカップを落としそうになった。
「え……?」
アユナはカップからケイトへと目線を移した。
「何、で……」
「アユナ」
ケイトはアユナを睨んだ。
「わたしはお前を疑いたくはない。だが、お前がミーウを裏切って、あいつらに情報を渡したり、暗殺を企てたりしているのであれば……」
「待って!」
アユナは立ち上がった。
「確かに昨日の夜、わたしはキラーと会った。でも、ミーウを裏切るためじゃない! わたしがミーウを裏切るわけないじゃない!」
「じゃあ、何のために会ったんだ!」
「そ、れは……」
ー何のために会ったかと言われると……。
「……」
ーアユナ、少し時間いいか?
「言えないのか?」
「……は、話すため……」
「何のだ?」
「何のって……」
ー特に何も話してない。それに……。
アユナはキラーに抱き締められたことを思い出した。
「……っ」
次第に顔を真っ赤にさせるアユナを見て、ケイトは驚いて立ち上がった。
「アユナ、どうした!? 熱でもあるのか!?」
「ち、違うの」
頬を両手で押さえて、アユナは言った。
「えっと……その……」