第34章 月夜の悪戯の魔法
キッド海賊団と戦った次の日、ミーウは未だに眠り続けている。怪我の程度はアユナの能力を使い、大分回復したが瞼は固く閉じたままだった。
「アユナ」
昼食を食べ、後片付けも終わって、食堂の椅子に座って一段落ついていた時に、アユナはケイトから話しかけられた。
「どうしたの?」
「今、いいか?」
「うん」
ケイトはアユナの向かい側の椅子に座った。
「ミーウは?」
「まだ……怪我の程度は良くなってるんだけど……」
ー移し身の浄化が終わっていない。
「いつ、目を覚ますのか……わかるのか?」
アユナは首を振った。
「そうか……」
ケイトは目を細めた。
「ミーウのそばにいなくていいのか?」
「それがね……」
アユナは眉尻を下げて苦笑した。
「スレイジが……譲ってくれないの……」
「……なるほどな」
ーーミーウが眠りについてから、スレイジはずっとミーウのそばを離れない。アユナも一度、ミーウのそばにいたいと訴えたのだが、スレイジのおれがいるから大丈夫だという言葉で一蹴されてしまった。
「あいつも……あいつだな……」
呆れたようにケイトは笑った。
「ところで、アユナ」
「何?」
アユナは用意した紅茶を飲みながら聞いた。