第33章 それぞれの想い
ーあいつの全てに魅了された。
「それに、大きくなるにつれて……どんどん綺麗になった。大人っぽさに磨きがかかった。さらに、優しくなった」
(……もうおれは……)
「完全に惚れていた……。気付いたら、どうしようもなく」
「……」
船医は黙って、キラーの話を聞いていた。
「だけど……好きだって言えなかった……」
「何で……言えなかったんだ?」
船医はキラーを見ながら聞いた。
「おれが……あいつに釣り合わないからだ……。おれなんかが告白しても、あいつを……アユナを困らせるだけだ……」
キラーはそれ以降、口を閉ざした。
「……なあ、キラーさん」
船医は口を開いた。
「おれはキラーさんはすっごくいい人だと思う。優しいし、強い」
キラーは船医を見た。
「だから、そんな風に思うんだと思う。でも……たまには自分の気持ちに正直に行動しても、いいんじゃないか?」
「……おれがそんなことを……」
「してはいけないという決まりはないはずだ」
そう言って、船医は立ち上がった。
「まあ、頑張れよ! 応援してるからな!」
船医はそのまま部屋を出て行った。
「……」
ーたまには自分の気持ちに正直に行動しても、いいんじゃないか?