第32章 戦いの果てに
氷の竜と金属の塊がぶつかって、辺りには爆風が吹き荒れた。
「う、うわ!」
ミーウの軽い肢体はその爆風に吹き飛ばされて、地面に叩き付けられた。
「……っ。痛いなー! もう!」
思ったよりも強く打ち付けられたため、ミーウは未だに痛みがある背中を擦っていたが、ふと、キッドの方を見た。
「……え?」
ーキッド?
ミーウは目を擦った。
(……嘘だよね)
でも、何回目を擦って見ても、目の前にある光景は変わらなくて……。
「キッド?」
呼んでみたものの、キッドからの返事はなくて……。
「……」
ーミーウ。
ーいつもなら、あの意地悪な笑顔を向けてくれるのに……。
ーミーウ、何してるんだ?
ーいつもなら、興味津々な顔で自分のしていることを覗き見るのに……。
ーおい、ミーウ。一緒に遊ぼうぜ!
ーいつもなら、あの明るい笑顔で手を差し出してくれるのに……。
ーミーウ、大丈夫か?
ーいつもなら、わたしのことを気遣ってくれるのに……。
ー……あまり……心配かけるな。……馬鹿野郎……。
ーいつもなら、辛そうな顔をして辛そうな声を出して……それでも、優しく抱き締めてくれるのに……。
ミーウはバッと思いっきり立ち上がった。
「っ!」
その時、キッドに攻撃されて傷付いた左腕が痛み、思わず左腕の痛いところを掴んだ。
「……」
ミーウは少し息を整えて、キッドの方へ歩いて行った。
キッドは死んだように目を固く閉じて、頭と肩の方から血を大量に流していた。
「キッド?」