第4章 すれ違う心
「……え?」
アユナは固まった。ーー8年前のあの日、確かにアユナたち4人は海賊になって、海に出ようと誓い合った。でも……それはあくまで“4人”でだ。では……。
「わたしとミーウは……?」
アユナはキラーを見た。真っ直ぐな黒い瞳で。
キラーもアユナを見返した。仮面越しに。
「これからおれがする話を……しっかり聞いてほしい」
(わかってほしい)
キラーは祈るような気持ちでそう思っていた。ーーキラーはアユナのことが好きだった。誰よりも優しくて、誰よりも思いやりがあって……自分よりもずっと年下なのに、大人っぽい彼女が。だが、アユナは自分に想いを寄せてはいないだろう。自分は今まで、誇れるような生き方をしていない。アユナには……とてもじゃないが釣り合わない。キラーはそうも思っていた。
そんなことを頭の中で思いながら、口では別のことを言う。
「海賊の旅は……お前もわかっているだろう? とても危険だ。だから、アユナ……お前たちを旅に連れて行くわけにはいかない。もしもの時……おれやキッドが守れない可能性だって、否定できない……」
キラーはアユナを真っ直ぐ見つめようと思ったが、途中からできなくなってしまった。ーー彼女の瞳に涙が溜まっていたからだ。