第32章 戦いの果てに
アユナとケイトはスレイジたちがいる方に向かって歩いていた。ちなみに、ワイヤーは先にキラーたちの方へ行ってしまった。ーー向かって行った方向が違うような気がしたのは……きっと気のせいのような気がしなくはないが……。
「そういうことだったのか……」
「うん」
「……また、迷惑を……かけてしまったな……」
アユナはケイトにスフィンクスになってから今までの話をした。ーーケイトはスフィンクスになっている間だけ、記憶が欠けてしまう。ーーそれは、まだ悪魔の実を食べたばかりで、ちゃんと能力のコントロールができないからだ。そのため、アユナから何があったのか聞いていたのだ。
「ううん、大丈夫だよ! 気にしないで!」
アユナはあまり顔には出さないが、雰囲気で落ち込んでいるとわかったケイトに笑いかけた。
「悪魔の実は最初のうちは慣れない物だから、あまり落ち込まないで気長に、ね?」
アユナは懸命にケイトを励ました。
その様子を見て、ケイトはふっと柔らかく微笑んだ。
「そうだな」
ケイトはアユナの頭に手を置き、柔らかくて真っ直ぐなアユナの黒髪を撫でた。
「ケイト?」
「ふふっ、お前は本当に優しいんだな、アユナ。ありがとう」
「え……!」