第32章 戦いの果てに
幹部たちの戦いが終わりに近付いていたその頃、キッドはまだミーウを飛ばした方へ目を向けていた。
「……」
ー本当におれが……。
(おれがこの手でミーウを……)
「殺しちまったのか?」
キッドは呆然とした。ーーキッドのあの攻撃は確かに、ミーウにまともに当たったはずだ。生きている確率は……極めて低い。
「……」
ーー嘘だと叫びたかった。でも、ミーウを攻撃したのは自分以外の何者でもない。
「そんなわけないでしょ!」
キッドはその声を聞き、顔を上げた。レンガが音を立てて、地に落ちて誰かがのそりと立ち上がった。そこにいたのは……ボロボロになってところどころに穴が開いてしまっている服を着て、左腕に大きな傷が付いてしまっているミーウだった。
「わたしだって、ここまで来た海賊の船長だよ? あの程度の攻撃で死ぬはずないでしょ!」
ミーウはキッドを睨んでいた。
「バカにしないで!」
キッドはミーウを見つめた。
「……そうだな」
ーこいつは強い。
「本気でかかって来てよ! キッド!」
「あァ、望むところだ!」
ミーウとキッドはお互いに距離をとった。
「キッド、さっきわたしは能力を使わないって言ったけど……」