第20章 慕われる人間
「うーん……」
島に着いたミーウはアユナとクユンと共に、船から浜辺へと降りて辺りを見回した。
(何もない)
ーー本当に、見事に何もない。市場もなければ、店もない。
「ここの人たちって……どこで食べ物とかを調達してるの? てか、一体どこに住んでるの?」
「……本当にね……」
あまりの何もなさに、アユナですら呆然と立ち尽くしている。ーー辺りを見ても、森と浜辺しかない。
ミーウは仕方なく、目を閉じて“見聞色”の覇気を使った。
「う〜ん……」
ミーウは閉じていた目を開けると、島の頂上へと続く1本の大きい坂道を指差した。
「あの先に……数人の人の気配を感じたけど……その他に、人の気配は全くないわ」
「……そんなことがあるのか? 島の住人が数人しかいないだなんて……」
クユンは腕組みをしてミーウを見た。
「あんまりないけど……全く有り得ない話ではないから……」
ミーウは顎に手を当ててからクユンを見上げた。
「まあ……とりあえず、行ってみる価値はあるのかもしれないけど……」
「そうね……ここで何もしないよりはいいかもしれないわね」
アユナはミーウの言葉に頷いて言った。
「ミーウ、本当に大丈夫か? おれも一緒に行った方がいいか?」