第16章 船の思い出
「……なァ、ミーウ」
「何?」
ミーウたちはクユンに教えてもらった通り、島にある川を逆走してシップタウンの奥にあるクユン専用の造船所まで船を届けた。その後、船の代わりに泊まる場所を探して、島にある大きいホテルの広い一室を借りることになった。今はその広いホテルの一室にミーウとスレイジが2人でいる状態だ。アユナとミシュラは街に買い物に出掛けた。
「あの船は……お前にとって、形見みたいなもんって聞いたんだが……」
「……アユナから聞いたの?」
「あァ」
スレイジは真っ直ぐにミーウを見つめる。
「答えたくないなら、答えなくてもいい。話したくなった時に、話してくれれば……」
「ううん」
スレイジが話しているのを遮って、ミーウは首を左右に振った。
「大丈夫よ」
ミーウは少しだけ悲しそうに微笑んだ。
「ただ、おばあちゃんの話をするのが久し振りだから……」
一瞬、目を伏せてミーウはスレイジの方を向いた。
「そうね。じゃあ……」
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