第10章 あなたのためなら
「……」
(どうする?)
ー今、ここで能力を発揮して戦えば、もしかしたら勝てるかもしれない。だが、キッドがいる。キッドがいる手前、あまり強いところや悪魔の実の能力者であることが知られると……後々、面倒くさい。
「……キッド、あんた悪魔の実を食べたから……泳げないわよね?」
「あァ、そうだな……」
ーーしかも、間が悪いことに、ミーウもキッドも泳げない。
(海を渡って逃げるのは不可能か……)
ミーウは唇を噛み締めた。
ーどうすればいいのだろう? どうすれば勝てるのだろう? どうすれば……。
ミーウは考えた。
ーこんな時、クザンがいてくれたら……。
そんな事を思い、ミーウはハッとした。
ー自分がピンチなのに、クザンが助けに来ない。と言うことは……。
(……クザン……わざとなのね……)
ミーウは心の中で舌打ちをした。
(でも、いい機会だわ)
ー自分がどれだけ、海賊と戦えるのか知りたかったところだ。
「おい、キルリレ。降参か? まあ、その方が賢いってもんだけどな」
「黙れ」
ミーウは凛とした態度で答えた。
「わたしたちはお前みたいな奴に負けない」
ミーウはキッドを見た。
「そうよね? キッド」
「……あァ」
キッドはニヤリと笑った。