第6章 旅立ちの時
メアリーは足元にいるミシュラを見た。
「ミーウはおれに任せろ」
メアリーは頷いた。
ミシュラはそれを見てから船に乗った。
「行くよ」
アユナは船のエンジンを稼働させて、船を動かした。
「みんな、行って来ます!」
ミーウは甲板に身を乗り出して、城のみんなに手を振った。
「お気を付けてー!」
「行ってらっしゃーい!」
人々も手を振った。
メアリーも他の人たちと同じように手を振り、クザンはその隣で静かに船を見つめていた。
「ねえ、クザン」
メアリーは手を振りながら、クザンに話しかけた。
「子供の成長は早いわね」
「そうだな」
クザンはふっと笑って頷いた。
メアリーも笑って、ふと目を閉じた。
(お母様)
メアリーはもうこの世にいない母シェルミーに言った。
(ミーウが血濡れの咎を負わないように、会いたい人にちゃんと会えるように、お父様とあの人に会えるように、どうか見守っていてください)
ーどうか、ミーウが無事に航海を終えることを……。
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