第2章 幼き日の約束
この島の中央には大きな楠がある。島の人々はそれを“大楠”と呼び、大事にしている。大楠はこの地に生えてからもう既に、1000年以上の時が経っていると考えられている。そのため、大楠には数多くの伝説がある。ーー木の中にある水で人々の命を助けたという話や大楠には神が宿っていて苦しんでる人々を助けたという話もある。
ミーウとアユナはその大楠に急いで向かっている。
「アユナ、早く。また遅いって言われちゃう」
ミーウとアユナはやっと大楠の丘に着いた。
そこには、もう既に赤い髪の毛の少年が大楠に背を預けて本を読んで座っていた。
「キッド」
「ミーウ、アユナ。遅いぞ」
「ごめん。キラーは?」
「キラーなら上だ」
キッドは大楠の太い枝に座って、海を見ていたキラーを見上げた。
「おい、キラー。来たぞ」
キッドはキラーを呼んだ。キラーはそれを聞き、金髪を靡かせて身軽に木から降りて来た。
「……随分、遅かったな。何かあったのか?」
「ごめん、キラー……ミーウのお母さんが外に出るのをなかなか許してくれなくて……」
ーー本当は無断で城を抜け出して、見張りの海兵たちから気付かれないようにして出て来たなんて言ったら、ミーウとアユナはもう二度とこの少年たちと遊ぶことも、ましてや会うこともできなくなる。それはマシュラとミシュラ、メアリーにシェルミー、クザンにもこの少年たちと会って、遊んでいることは言えない。ーー彼女たちは特別な身分だから。