第11章 朝帰り
直樹は非常に驚いている様だった。
だが、それ以上私とタカシの関係を聞いてこようとはしなかったのだ。
多分、確実に、直樹は私とタカシの関係を知っていたに違いない。
それを、知っていながらも直樹は私を責めたりしなかった。
それは、恋愛体質の私のいつもの癖だと知っていたからだろう。
私は実に惚れっぽい女なのだった。
直ぐに、彼氏がいても他の男に気持ちが行ってしまう。
そんな、私の性格を直樹は知っていたのだ。
それに、他の男と遊んでも、必ず最後には直樹の元に帰って来ることを彼は知っていたのだ。
昨夜、寝る前に直樹と明日の朝、ミョウガとナスのお味噌汁を作ってあげると約束していた。
その事を私は思い出したのだ。
「直樹、ナスとミョウガのお味噌汁作ってあげるわ…」
「そ、そうか…」
「うん、待っててね…」
「真帆、もうタカシの家になんて行くなよ…」
「分かってるわ…」
そう、言ったものの、気持ちはタカシへと向かってしまうのだった。
どうしたら、この気持ちを抑えることができるのだろうか。
身体はタカシを深く求めていたが、心は直樹を求めていた。
でも、もうタカシとの関係は終わらせなければならないと私は思っていた。
そんな事を考えているうちに、ナスとミョウガのお味噌汁が出来上がった。
それを、直樹と一緒に食べたのだった。
私の心はとても複雑だった。