第8章 嫉妬
それを聞くと、また怒りだして私に言ってくるのだ。
「お前は、俺がいながら、男を家に引っ張り込んだんだぞっ!!」
「だから、なにもしてないって言ってるじゃない!!」
こんな、押し問答の様な状態がしばらく続いた。
それも、近所に聞こえるような大きな声でタカシは言うのだった。
私は、ホトホト困ってしまった。
「じゃ、どうすればタカシの気が済むの?」
「俺か?」
「そうよ…」
「なら、これから、俺の家に一緒に来い…」
この日、タカシは自分のいつも乗っているスクーターを自宅に置いて飲みに行ったらしいのだ。
我が家には、タクシーで来たらしい。
なので、自宅に帰る足が無かった。
そこで、思いついたのが私の車だった。
私は迷っていた。
何故なら、自分の家の私のベッドには翔が眠っている。
その翔を残してタカシの家に行くことが出来なかったのだ。
その様子を見て、タカシは言ってくる。
「家にいる男の事気にしてるのかよ!!」
「ええ、気にしてるわ…」
別に、タカシとは正式に付き合っている訳ではなかった。
それに、タカシから好きだと言われたこともなかったのだ。
事実あったのは、身体の関係だけだった。