第7章 前夫
「翔ちゃん、焼酎でいいのよね?」
「うん、焼酎の水割りでいいよ…」
「分かったわ、作って来るから待っててね…」
私はそう言い残すとキッチンに行き焼酎を2個作った。
それを持つとリビングへと運んでいった。
「はい、翔ちゃんの焼酎ね…」
「ありがとう…」
「さ、お鍋、食べましょう…」
そう言うと私たちは焼酎で乾杯してからお鍋を食べ始めた。
翔は大好きな春菊から食べてゆく。
私は白菜から食べて行った。
「翔ちゃん、鶏の手羽先美味しいから食べてみて…」
「あ、これのこと?」
翔は鶏の手羽先が分からない様だった。
それを見て私は鍋から手羽先を取り分けてあげた。
こんな風景は本当に普通の夫婦に見えてしまうから不思議なものだ。
一緒に暮らしていた時は、こんなに仲は良くなかったと思ってしまう。
離婚して、少し離れて距離を置いてみて初めて相手のことを想えるのだと思ってしまった。
「真帆、この手羽先旨いよ!!ホロホロにとろけるじゃん…」
「そうでしょ?美味しい?」
「うん、マジで美味しいよ…」
「喜んでくれて良かった…」