第7章 少し長めのエピローグ
「私は――――
妊娠もしていませんし、結婚もしません!」
ザワついていた社内がしんと鎮まった。
「ただ、この会社に見切りをつけて辞めることだけは事実です!では。」
軽く頭を下げて踵を返した。
口をパクパクさせている部長の前を通り過ぎ、振り返ることなく出口へ向かう。
途中で、率先してウワサを撒き散らしていた社員を見つけたので彼女に花束は渡した。
「これは貴女にあげる。明日から退屈になっちゃうでしょうから、お・み・ま・い!」
会社を出ると青い空が広がっていた。
(言えた!言ってやった!)
私は今の気持ちの様に清々しい空を見上げた。
プルルルル………
バッグの中のスマホが鳴った。
「はい………」
「もしもしぃ?玲奈ぁ?」
さやかだ。
「昨日ぉ、玲奈の元カレ君の結婚式行ってきたよぉ。そしたらねぇ、」
「さやか?」
私はさやかを遮った。
「もうそういうのいちいち報告してこなくていいから!切るね。」
「え?ちょっ、何ィ?玲奈らしくないよっ!」
私は電話を切った。
「『らしく』なくて結構!」
声に出して言う。
プルルルルルル………
バッグに仕舞おうとしたスマホが再び鳴る。
(もう!しつっこいなあ、着拒しよ!
―――――発信先を見て私はハッとした。