第3章 Therapy2回目
(…………来ちゃった……
また予約なしに。印象悪いよね。)
だけど一昨日はもう来ることはないと思ったからショップカードどっかにいっちゃったから連絡先わかんないからこうして押しかけるしかなかった。(ネットで検索しても男の人向けの違うのしか出てこないし………)
――――さっきからインターホンの前でウロウロしている。
(これじゃ不審者、通報されちゃう!)
私は思い切って覚えていたルームナンバーを押した。
「はい。あら、いらっしゃい、林さん。」
モニターで顔を確認したRanさんに名前を呼ばれた。
(うっ、覚えられていた………)
「す、すみませんっ!また予約してないんですけどっ!」
「うふふ、貴女ツイてるのね。いつもなら当日予約は難しいのだけど今日は急なキャンセルが入ったの。さあ、どうぞ。」
(ツイてる?私が?とんでもない!いっつも貧乏くじ引かされてるのに。)
今日は淡い黄色のロングドレスを着ているRanさん。
(今日もキレイ………)
「じゃ、林さん。初回だからこちらのカルテを記入してね。お名前や住所は書きたくなかったら書かなくていいわ。ただ何て呼んで欲しいかだけココに書いてね。」
私は『サロン・ネーム』の欄に『レイナ』と書いた。後は良くあるエステサロンやマッサージ店と同じ様な質問に回答してゆく。持病の有無やアレルギーとか。
Ranさんは私のカルテに目を通して軽く頷いた。
「万が一気分が悪くなったりした時はすぐに言って頂戴。私は看護師をしていたから安心してね。」
(そうだったんだ!意外……)
「施術は基本的に全裸か施術着を着ていただくことになるけど―――」
(全裸?!)
その言葉に私はピクリとした。それにRanさんは気がついたのか、
「恥ずかしい時はお洋服着たままでも大丈夫ですよ。
でも清潔にしたいからシャワーは浴びてくださいね。バスルームはこちら。」
案内されたバスルームにカギをかけて私は一人、着ているものを脱いだ。
バスルームは清潔でハイブランドのボディソープやフワフワのタオルが用意されていた。
汗ばんだカラダに温かいシャワーが心地良い。
タオルを取ろうと振り返ったら鏡に映った一糸纏わぬ自分の姿が目に飛び込んできた。
途端に我に返ってブルッと身震いした。
(………………!!ワタシ、何してるんだろ?)