【ブルーロック】HEALER【ミヒャエル・カイザー】
第1章 女嫌いのkisが財布を拾ってくれた日本人に好意を抱く話1
選手の関係者の入場履歴に潔世一の関係者はいるか、しばらくして『yes』という返答が返ってきた。招待者は女性が二人、男性が一人。男性は未使用で、女性の一方は母親、もう一方は友人と記載されていたらしい。入場券も使用済みになっている。そして俺の関係者の入場履歴にも使用済みと使用した履歴が残されていた。俺は入場済みになったチケットを見ながら、赤のインクを親指で撫でた。
(じゃあ、入場券を二枚同時に使ったのか。 なぜ? なぜわざわざそんな必要があるのか)
日本人だからなのか? あいつらはよくお人好しでカモにするには打って付けだと昔の悪友が言っていた。
紙袋の底、気付けばまだ紙切れが残っていた。それに、触った感覚でかなりの量だとわかる。今度はなんなんだよと少し苛立ちながら無雑作に握りしめ取り出す。唖然とするしかなかった。―――紙幣だ、日本とドイツの紙幣。あの時無理やり渡したもの。
(俺がホントに捨てたらどうするつもりだったんだよ)
一瞬苛立ったが、すぐに俺は結果論にたどり着く。でも結果、俺は捨てなかった。このチケットと、紙幣が入っていると知っていれば俺は捨てなかった。でも知らなくても、俺は捨てなかった。気持ち悪い、まるで自分の思考が、行動が読まれてるような感覚が気に入らなかった。ただひとつ、―――なぜか悪い気分ではなかった。