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【ブルーロック】HEALER【ミヒャエル・カイザー】

第1章  女嫌いのkisが財布を拾ってくれた日本人に好意を抱く話1



 お礼に色紙にサインを書いて、注文したものをテイクアウトで受け取ると、しばらくして私服に着替えて来た女がコートを羽織りながらテラスにおどおどとやって来る。
「すみません、もしかしたらまだコーヒー臭いかも」
「気にしない。座れ」
 ホットコーヒーを口にしながらそう言うと、女はマフラーを巻きながら目の前の椅子へ座ると、俺は単刀直入に聞く。
「なんで俺のを使った」
 少しの沈黙の後、その言葉の意味を理解したような顔をして女は目を見開く。
 負けた気分だ、あの時いらなければ捨てればいいと言ったものを捨てなかった理由が今すべてここに明かされたからだ。女は捨てなかった理由も聞かず、ただ柔らかな笑みを浮かべて「あなたに貰ったから使いました」と何の疑問も持たず言った。聞きたかった理由と違い、俺は少し考えて質問を変える。
「なぜ、世一のを持ってるのに俺のも使う、二つ使う意味はないだろう」
「そう、...ですけど...........うーん、なんででしょう。どうしてかな」
 女は回答に悩んでいるのか、思い出しているのか眉を下げながら上の空を見る。もしこの回答が、俺の直感がやっぱり違うとなったらそれはそれでいい。俺は確かめたかっただけだ。今でも捨てることのできないこのチケットの理由が欲しかった。
「いらないって言ったから、使いました」
 俺の目を見て女は真っ直ぐと俺を見てそう言った。
「あの時、いらないって...それにほら、関係者招待の番号。潔くんから貰った番号は両親2人を飛ばして03だったのに、ミヒャエルさんから貰ったのは01だった気がします。だから不思議に思っちゃって」
 その考えた結果が、これを使った意味になる。俺の中で辻褄が合う。
「あなたみたいなすごい人、きっといろんな方が勝手に見に来るんだと思ってました、けど私の固定概念でした。その、私は多分だいぶ恵まれてる方だと思うので、こういうのこう、なんて言うのかな...難しいけど、」
 女は頭を悩ませながら、見ず知らずの俺に対して言葉を選びながら紡ぐ。

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