【ブルーロック】HEALER【ミヒャエル・カイザー】
第1章 女嫌いのkisが財布を拾ってくれた日本人に好意を抱く話1
「あの、ありがとうございます。助かりました」
「...見てて胸糞悪かっただけだ、気にするな」
その場にしゃがんで床に落ちたマグカップの破片を掴むと、女が「あ!」と声を上げて俺が手を伸ばす前に引き止める。
「それは私達がやるのでミヒャエルさんは...!」
女の腕が赤くなっているの見て、思わず俺はその腕を手を取った。その意味に気づいた様子で「あ...」と声を漏らすと「これちょっと熱かったから赤くなってるだけでなんともないですよ。熱湯ではなく飲み物だったので」と俺に念を押してきた。
しばらくして数人の店員がタオルと箒を持ってやって来る。自分の今の状況も忘れて手伝おうと加勢する女の肘を掴み、その場から一歩引く。俺の方に視線を向けると、諦めた様子で視線を戻した。
「君の常連さん?」
「え!? まさか!? たまたまで...」
突然背後に現れた四十代前半の男が俺を差しながらそう言った。先ほどまではいなかった客だ。聞けばここの上の者らしい。休み中たまたま騒ぎを聞きつけて様子を見に来たそうだ。
「そうだ、コイツに会いに日本に来た」
改めて帽子を外してそう伝えると、女も含め分かりやすく周りがどよめいた。眼鏡の男は俺の顔を認知したのか「ようこそ日本へ、カイザーさん」と握手を交わした。後に先ほどあった出来事と、コイツに用があると言えば話のわかる者だったおかげですぐに俺の問題は解決した。