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【ブルーロック】HEALER【ミヒャエル・カイザー】

第1章  女嫌いのkisが財布を拾ってくれた日本人に好意を抱く話1



「お気持ちは分かりますが、彼はまだ新人でして悪意は御座いません。どうぞご理解くださ」
「じゃあ新人の教育がなってないな? 下の教育もなってねぇ癖にお前がここで働く意味あんのか?」
「申し訳ありません、すぐに新しいのをお持ちしますので」
「いらねぇよ!!」
 次の瞬間、男のテーブルに置いてあったコーヒーが宙を舞った。
 コーヒーは目の前に立っていた女の顔と腕にかかり制服に伝っていく。床に落ちたマグカップがパリンと割れ、床には白い破片が散らばった。ああいう体型の奴は世界共通でクソなのか?
「本当にダメな人間だな。お前に生きてる価値を俺は見出せねぇ、お客様は神様だろうが。俺はな、いくつもの会社と取引し」
「お前が神な訳ねぇだろクソジジイ」
「あぁ?」
 背後から男に俺は近づいた。昔の俺なら、きっと感情に任せて蹴り飛ばしていただろう。生憎、今の俺は社会的にも知名度のある大人だ。このクソジジイでもあるまいし、そんな馬鹿なマネするはずがない。
「待って、あの人......」
「カイザー...」
「あの人ミヒャエル・カイザーだ!」
「嘘!? 今朝ニュースで日本来てるって言ってた!?」
 俺の正体に気づいた周りが騒がしくなる。顔を真っ赤にして自ら羞恥を晒すクズに俺はスマホを向けた。
「続けていいぜ、」
 そう吐き捨てるとクソジジイは今置かれている状況に気づいたのか顔を真っ赤にしながら「二度と来るかこんな店!」と罵倒を上げながら店を出た。慌ただしく庇われた店員の青年が女に声を掛ける。
 「大丈夫だよ」と言いながら女はエプロンを脱ぎ、頬にかかったコーヒーを手で拭った。俺もそれに気づいてテーブルに置いてあった新しいナプキンを数枚差し出すとそれに気づいて、一瞬止まった後笑みを見せながらそれを受け取って濡れた制服にかかったコーヒーを沁み込ませた。

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