第26章 【呪術廻戦】DOOR【3】
パソコンに向かって、キーを打ち込む五条だったが手術室には無機質な音が響き渡った。
それは心臓が機能を停止した音。
ベッドの上の男は先ほどまで暴れていたとは思えないほど、ピクリとも動かず、その瞳は虚空を見つめていた。
硝子は見開かれている瞳を優しく掌で覆った。
固く閉じられた瞳。
安らかな表情で死んでしまった彼を見つめる看護師と硝子。
しかし一人だけまだ諦めていない人物がいた。
「まだだ……。まだ、終わってない……」
「もう無理だよ」
「無理でも無茶でもない!!僕は僕の理論道理にやるべきことをやったんだ!!必ず蘇る!!」
「もういい」
「もういいだって?……ふざけるなっ!!お前らもだ!!」
五条は硝子や看護師たちに怒鳴りつけ、そして何度も何度もプログラムを打ち込む。
しかし、ベッドの上の彼はもう二度と目を覚ますことはない。
それを認めたくない認められない五条は、息を荒くしただただ自分の理論を立証しようとした。
「科学に"もういい"なんて言葉はないんだよ‼」
「もう無理だ。無理なんだよ」
「僕が鍵になるって言ったじゃないか。僕が扉を開くんだっ!!」
「やめるんだ五条!!」
五条の肩を硝子は強く掴んだ。その力に。
五条はやっと、動かしていたその手を止めた。
静まり返る手術室。
硝子は看護師たちにこの場を離れる様に目線を送る。
そして彼らは頷き合って、その場を後にした。
室内に残るのは、医者と科学者と死体。
それだけだ。