第25章 【虎杖悠仁】ときめき
と他愛ない話をして時間を稼いでいた、美々子達のスマホが音を立てて鳴った。
開けば、夏油からのラインで【全て完了】とだけ書いてある。
それみた美々子と菜々子はお互いに顔を合わせて一度頷く。
「あ、お土産もう一つ買うの忘れてた。ちょっと買ってくるから待ってて」
「え、まだ買うの?」
「餞別はたくさんあった方がいいでしょ。絶対そこから動かないでね」
「わかった」
二人はから離れ夏油たちのいる場所へと向かう。
夏油が二人を手招きして、そっと影から見つめる。
少し遅れて五条もやってきた。
「お疲れ悟」
「傑もな」
ごつんと拳を合わせる二人。
ここまではどうにか全ての作戦は成功した。
あとは本人次第。
こればかりは彼等にはどうしようもなく、ただ祈るしかできない。
「来た!!」
伏黒の声に、全員視線を向ける。
を探して走り回ったのだろう。
虎杖の肩は大きく上下していた。
の座るベンチの後ろの虎杖はいる。
が、は気づくことなくスマホをいじっていた。
固唾を飲む5人。
を見つけた途端、石にでもなったのかと思うほどに、虎杖はその場から動かない。
「なにしてんだ、あのバカ」
「あいつ、何のためにここまで俺が連れてきてやったと思ってんだ」
伏黒と五条が唇を噛んで眉間に皺を寄せる。
彼らの気持ちなど知らない虎杖は、何を思ったのか踵を返して帰ろうとした。
「帰るのか?マジかよ。マジでかけてやる言葉ないのか?もう会えなくなるかもしんねえんだぞ」
誰よりも虎杖の恋愛を応援していた五条。
可愛い後輩のために人肌脱ぐと決めた瞬間から、五条は虎杖の為にやれることはやってきたつもりだった。
仮免もそのうちの一つに過ぎない。
だからこそ、思う。
「言えよ、悠仁!!!」