第25章 【虎杖悠仁】ときめき
「あ、ぬいぬいだ」
ゲームセンターで遊んでいた彼等は、どこかでご飯でも食べようと話をしていた。
その時、はたまたまそれを見つけた。
掌より少し大きいサイズのぬいぐるみに目を奪われたのか、じっと箱の中でこちらを見つめるぬいぐるみと視線をぶつけ合う。
「ほしいの?」
「うん。でも、こういうのって難しいからいいや」
「取ってやるよ」
「まじ?」
隣に立つ虎杖がまさかそんなことを言うとは思わずに、大きな声が出たが、ゲーセンの音の方がうるさく、周りの人の迷惑にならなずに済んだ。
「俺が500円以内にこれ取れたら、飯奢ってね」
「え~。私今日誕生日なのに。それに500円で取れるわけないでしょ」
「いいじゃん、それくらい」
「わかったよ。寿司でも肉でも奢ってやるわよ」
「よっしゃ!!」
俄然やる気を出した虎杖は、制服をまくりお金を入れた。
虎杖は真剣な表情でアームの位置とぬいぐるみの位置を調整する。
そしてボタンを押せばゆっくりとアームは下に降りて、ぬいぐるみの体を掴んだ。
がしり、という音が聞こえたのではないかと錯覚するほど、しっかり掴まれたそれは落下口へと落ちた。