第21章 【呪術廻戦】DOOR【1】
「……すっごいやる気のないあっけらかんとした声だったね」
「私たちもびっくりしたけどさ、硝子なんかはもっとびっくりしてたよね」
「そりゃそうでしょ。4人して号泣してたんだから」
「でも硝子も硝子よね。あんなに心配したのにただいまってことないでしょ。電話もでなけりゃラインも既読になんなかったのに」
「で、またみんなして泣いてね」
「このことは一生忘れないって言ったんだよね」
三輪の言葉に、4人は静まり返る。
そう。
こんな強烈な思い出。
一生忘れないだろうと思っていた。
一生忘れるはずがないと信じていた。
だけど結果。
忘れていた。
「なんで、忘れていたんだろうね」
「いい加減なもんなのよ、人間なんて」
「忘れちゃうんだよ」
釘崎の言葉に真依と西宮がそう言った。
その出来事から既に10年以上の月日が経っている。
どんなに強烈な思い出だろうと流れゆく月日には勝てずに薄れ消えていく。
10代の淡い青春がどれだけ儚いものか、嫌でも身に染みてしまう。
あの頃はどんなに仲が良くても、離れてしまえばその絆というものはあまりに脆い。