第12章 【石神千空】プラネタリウム
存在しない星を作った。
私は、その星に名前をつけた。
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中学2年の時、学校のイベントでプラネタリウム見学に行った。
理科の授業で習っていたとはいえ知らないことが多すぎたのか、壮大すぎる世界に慄いたのか、それともただ単につまらなかったのか、大半の生徒は途中で寝ていた。
だけど私は、宇宙の広さに、星の持つ時間に、知らないことを知る面白さに触れ、上映時間ずっと夢中になって見ていた。
それと同時に自分の中に恐怖も生まれた。
宇宙はとても広く、とても大きく、膨大で、それじゃあ私たち人間はちっぽけな存在で、人間が、私が、在る意味ってなんだろう。
そう思ったら、なんだかとても怖く、とても悲しく、とても虚しくなった。
上映が終わり、帰りの時間になるまでの間、各々自由に時間を潰していた。
私はお土産コーナーで何か買おうか悩んいると、視界の端にとある人物の姿が映った。
そちらへ目をやると、彼はとある本を熱心に読んでいた。
本のタイトルは分からなかったけど、置いてある場所から推測すると宇宙と月についての本だと思う。
彼は科学だけにしか興味がないと思っていたから、宇宙にも興味があるんだと知って少し意外だった。
家に帰っていろいろ調べたら、宇宙科学という分野があると知り自分の無知さを恥じた。
彼は一貫して科学という分野全てに興味があるんだ。
誰よりも真剣になって本を読んでいる彼の横顔が脳裏から離れなくて、気付いたらその日から彼の姿を目で追うようになっていた。
授業中はもちろん、昼休みの時間も、放課後も、彼の姿を探しては追い続けた。