第9章 【狗巻棘】舞台、開幕
俺はきっとあの子のことが好きなんだと思う。
小さい頃からずっと一緒にいた。
所謂、幼馴染。
いつの間にか好きになっていた。
もうずっと前から抱いていた、この気持ち。
幼い頃は自分の言葉で傷つけた時もあった。
けど、嫌な顔一つしないで笑ってくれて。
その笑顔が何よりも好きで、ずっとそばで見ていたくて。
自分だけのものにしたくて。
だけど告白する勇気なんてない。
それ以上の関係なんて望んでいない。
ただ、彼女の側にいられるだけでよかった。
俺の言葉で、彼女を呪いたくなんて、なかった。
そう思っていたのに。