第8章 【夏油傑】ひとでなしの恋【R18】

初めて彼とキスをした日を思い出した。
お互いに緊張して触れるだけのキスをして「好きな子とキスするのは、こんなにも緊張するものなんだね」とはにかんだ彼の姿が瞼の裏に浮かぶ。
そしてまたキスをした。
小鳥が啄むような、そんな甘く痺れるキスだった。

夏油の昂りがの割れ目に触れる。
一気に現実に引き戻されたは、小さく声を漏らした。
肉壁を押し広げられる感覚と、深まるキスをは同時だった。

「……んッ、」

くぐもった声は夏油の喉奥に消えていく。
下腹部が疼いて、男の欲望を欲しがる自分の厭らしさに胸が痛くなる。
隙間なく密着する身体。
満たされていく心と、罪悪感に埋もれていく感情。

夏油の好きなように揺さぶられる身体。
浅い場所を刺激され、最奥を抉るように突かれる。
の弱いところも好きな責められかたも、夏油は全部覚えていた。
忘れられなかった。
彼女の全てを、夏油は忘れずに、忘れられずに、ずっとずっと覚えていた。
好きな物も嫌いな物も全部全部。