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【雑多】いつかどこかで【短編集】

第8章 【夏油傑】ひとでなしの恋【R18】






彼らは今、性交をしている。
の中に夏油のものが入っている。
夏油のものをの中に入れている。
しかしこれはなんてことのない至極普通のことだ。
お互いを求めているとか、お互いを愛しているとか、この時ばかりは本当にどうでもいいことで。
なぜならこれは身体の交わりに過ぎない。
この行為に意味はない。
彼らはお互いの不完全な身体に触れ合うことで語り合っているだけなのだ。
語り合うことのできない感情を語り合っているだけだ。
そうすることで彼らはお互いにそれぞれの不完全さを分かち合っている。
それを人は「愛情」と呼び「愛しさ」と知り、それを確かめ合うために身体を重ねているだけにすぎない。

は、はっと目を覚ました。
木造の天井が目に映り、のっそりと起き上がり、腰に走った鈍痛に顔を歪めた。
長く激しい性行為をした翌朝は、いつもこうだ。
ほんの少しの痛み、夏油のものが入っていたという感触が下半身にかすかに残っている。
身体の奥までひっかきまわされた甘いだるさの中、欲に満ちた切れ長の瞳や息を切らし上ずって掠れる声、鍛え上げられた筋肉や身体に滲む汗を滴らせた夏油の姿を思い出し、下半身が性衝動に駆られる。

「鎮まれ、私の性欲!!」
「……なに、してるんだい?」

収まらない欲望に自分でも嫌気が差す。
昨日散々したと言うのにまだ物足りないのか。
ジンジンと疼く内側から漏れる欲には勢いよく拳を握り締め思いきり殴った。


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