第6章 【石神千空】人はそれを○○と呼ぶ【R18】
氷月に至っては、千空の知りたくもなかった一面を見てしまい少しだけ失望していた。
本来であれば頭脳明晰であるはずなのに、恋と言うものはここまで優秀な彼の脳さえも低下させるものなのか。
恋は盲目、とはよく言ったものだ。
「ねえ!!二人からも千空くんに言ってやってよ!!」
そんなモズと氷月の心境を知る由もない彼らは口喧嘩という名の惚気をやめることなく、再び巻き込もうとしていることに流石の氷月も堪忍袋の緒が切れ「うるさい」と一蹴し、二人と洞窟の外へと追い出した。
「そんなに互いの気持ちが知りたいのなら、今すぐ仲直りのセックスでもしたらいいじゃないですか。君たちのどうでもいい喧嘩に二度と私を巻き込まないでください。くだらない」
氷月の言葉に漸く頭に上っていた血が下がったのか落ち着きを取り戻した千空は、先ほどまでの醜態を思い出しいたたまれない気持ちになった。
大きく息を吐いて乱暴に頭を掻くと、千空は彼女の腕を引いて洞窟を後にした。