第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】
その後、二人が付き合った事を知った夏油や家入、七海に灰原たちは五条の今までの所業を叱りつつも、やっと素直になった彼の幸せそうなオーラを感じ胸をなでおろした。
は、歌姫や川崎くんに「今からでも遅くないから別れろ」と言われていたが、頑なに首を縦に振ることはなかった。
あんな男のどこがいいんだと言わんばかりの表情をする歌姫だったが、それでもかわいい後輩が嬉しそうに楽しそうに笑う姿を見て、何かあったら五条の一物を切り落とそうと心静かに誓った。
「髪、切ったんだな」
東京駅のホームで、五条は静かに口を開いた。
京都に帰るを見送ろうと、五条は任務を夏油に押し付けた。
昨日よりも短くなった髪の毛に触れる五条には小さく笑みを零した。
「今朝、硝子先輩が切ってくれました」
「そっか……」
「髪の毛が伸びたら、そのゴム受け取ります。だから、今は五条先輩が持ってて」
「………わかった」
服のポケットに入っていた青いそれを握り締める。
これまで積み上げられてきたものは何をしても消えることはない。
物理的な暴力の傷は癒えても、心の傷はいつまでも癒えることはない。
に、そして五条にできることは目を逸らさずに背負ったまま前に進むことだ。
「また東京に来るときは、連絡、してもいいですか」
「当たり前だろ。すぐに迎えに行く」
その言葉には太陽のような眩しい顔で笑った。
新幹線の扉が開く。
乗車しようと歩き出すはその歩を止めた。
そしてくるりと、五条に向き直り。
「一つ、問題出してもいいですか?」
「なに?」
「嫌よも嫌よも……なんでしょう」
「は?」
「答えは次に遊びに来た時にでも聞かせてください。―――悟さん」
にこりと笑って、は新幹線に乗り込んだ。
呼び止めようとした五条だったが、人の波にのまれそれは叶わなかった。
「そんなん、決まってんだろ……」
嫌よも嫌よも好きのうち。
心の中で呟いたその言葉に、五条は顔を真っ赤にしへなへなとしゃがみこんだ。