• テキストサイズ

氷が溶けるまで。【中原中也】

第2章 再会


紅葉が初めてと出会った日。

は感情というものが全くなく、空っぽだった。

まるで人形のようであった。

紅葉は彼女にたくさんの愛をそそいだ。

中也や太宰が足繁くの元へ通った甲斐もあってか、少しずつ感情を取り戻し、今に至るのだ。

特にに毎日会いに来ていたのは中也だった。

暇ができればを外へ連れ出した。
帰ってくる度、は嬉しそうだった。


そんなが遂に恋を知ったのだ。
中也の想いが報われる日もそう遠くない。

"ふふ、楽しみじゃな。"


コンコンとノック音が鳴る。
相手は予想している。

紅葉「入って善いぞ、中也。」

「失礼します、姐さん。お久しぶりです。」

紅葉「半月もご苦労であったのぉ。」


-------
紅葉「そうじゃ、主が留守にしている間にに会合に出てもらってのう。」

「なっ////」

そう云い乍ら携帯の画面を俺に見せてきた。

俺は目を見開いた。
そこには恥ずかしそうにこちら見ている。

驚いたのはの姿だ。

群青色の着物を身に纏っているのだから。

の白い肌と美しい髪色にピッタリだ。

あまりの美しさに言葉を失う。

紅葉「あまりの美しさに言葉がでないじゃろ。他の殿方も皆同じ反応じゃったのぉ。」

つまり俺以外の男どもはの着物姿を拝んだということだ。

姐さんはニヤニヤした顔で俺の様子を伺う。

「姐さん、揶揄わないでください。」

当のの姿はない、恐らく奥の部屋で仕事でとしているのだろう。

居なくて善かった。恐らく俺の顔は今真っ赤な筈だから。

/ 259ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp