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氷が溶けるまで。【中原中也】

第6章 DEAD APPLE


大人しくベンチで座って待っていたが、なかなか中也は戻ってこない。

ゴン!っと壁を殴る音が聞こえる。

やっぱり心配だ、、、。

私はもう一度立ち上がろうとする。

少し休んだこともあってか、まだフラフラではあるが壁を伝って歩いた。


"報酬は手前の命だ。"

声が聞こえた、声の主は、、、


『中也、、、?』


一体何の話をしていたのかを聞く前に再びお姫様抱っこをされて部屋を出た。

中也の顔はいつもよりも真剣だった。

暫く歩くと軍の戦闘機に乗せられる。


『中也、依頼ってなんなの?お願い、教えて。』

「あれを見ろ。」

窓を指さされる。
指を刺す方へ視線を向ける。


『な、なにあれ、、、。』

数メートル先に大きな龍がいる。

まさか依頼って、、、。


「あの中に糞太宰がいる。」

『だ、太宰さんが?そんな、、、。』

あの中にいるということは太宰さんはもう、、、。

「生きている、あの野郎は。助ける代わりに1発殴ってくる。」


『ダメっ!!危険すぎる。本当に太宰さんが無事かも判らないのよ!』

中也の手を掴む。
きっと"汚濁"を使う気だ。
太宰さんしか制御できないのに、、、、、。
無茶だ。

涙が止まらなくなる。

「心配すんな、大丈夫だ。」

私の頭を撫で、落ち着かせようとする中也。

『イヤ、ダメ!!お願い、1人にしないで。もう大切な人を失いたくない、、、、。』

織田作の事があってから、大切な人が居なくなるのが怖くなった。

1番失いたくない人は中也だ。

『行かないで、中也は私の光なの。だから中也が居なくなったら、、、』

「。」

頬を撫でられ、視線を合わせる中也。

「約束だ、俺は絶対戻ってくる。なんせ俺の光は、手前だからな。」

『私が中也の光、、、?』

「ああ、そうだ。俺の光だ。」

頬を伝う涙を舐め取られ、深く口付けをされる。

『んっ。んぅ、んぁ』

「ん。」

暫くして唇が離れる。
銀色の糸が2人を繋ぐ、、、。

「、愛してる。俺を信じて待っていてくれ。」

その言葉と共に意識を失くした。



??「まもなく目標地点上空です。」



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